君への贈り物は、
喜んでくれるだろうか?






あの日から二日。
鋼のからは連絡は無い。
二人に頼んだもの、相手は引き受けてくれたのだろうか?
其れを気にしていると仕事が手に付かない。
其の度に中尉に叱られるのが少し痛い。
ま、普段からしていない私も悪いのかも知れないが。

「大佐、少しは自覚してくれませんか?
 毎回こうでは寝不足が重なって体が持ちませんよ?」

中尉が溜め息交じりで言った。
私は気の抜けた返事を返して、また山積みの書類にペンを滑らせた。
暫らくはいつもと同じ様に暇な部屋を見回して見る。
中尉はというと散らかった物を整理していたりする。
何事も無く、時間だけが過ぎていく。
其の沈黙を扉を叩く音が破った。

「入りたまえ」

私が入る事を促すとノックした主が入ってくる。
鋼のだった。暫らく見ないうちにちいさ・・・おっと、之を言うと鋼のが怒るか。
今はそういう事を言うより頼んでおいた物が先だ。
鋼のは真っ直ぐに私の前に来て例の物を手渡した。

「・・・之が頼まれてたヤツ。
 あそこのオッサン、結構気前が良かったぜ?
 変わりに其れなりの金取られたけどな」

渡したら渡したで少し文句を言って帰っていった。
ま、今度食事でもおごってやろう。其れ位は安いものだ。
受け取った物を袋の中で確認し、少し笑みを零す。

「・・・中尉」

さっきの話を横目で見ていた中尉を呼ぶ。
中尉は不思議そうに・・・とは言っても顔色一つ変えてはいないが、近くに寄ってくる。

「・・・何でしょうか」

近寄ってきた中尉にさっきの物を渡す。

「・・・之は?」

中尉は其れを受け取って中身を出した。
鋼のに頼んで中尉に渡した其れはシンプルなイヤリングだ。
中尉に似合うように、シンプルにと言ってはおいたが此処まで合う物を作ってくれていた。
やはり良い腕の持ち主だったんだな、と内心思う。
後で餞別でも送って置こうか。

「今まで色々世話になったお返しだよ。
 そして之からも宜しくと言う意味も込めて」

中尉は手にしたイヤリングを暫らく見つめた後、私を見た。
私は表情を変えることなく返事を待つ。

「・・・・・・有難う御座います」

暫らく間を置いて返された。
こんな高価なもの受け取れないと返されるだろうと思っていた私は少し驚いたが。
こんな中尉も悪くないかと割り切る。
中尉は私の前でイヤリングを付け替えた。
いつもと少し違う中尉が何とも可愛らしい。

「良く似合うよ。中尉」

私が言うと中尉は少し赤くなった。
その中尉の心中をよそに私は中尉のおでこにキスを落とした。
鋼のには感謝しないとなと思いつつ仕事に戻った。







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